物流は社会にとって重要な業種である
これについて異論のある方は少ないでしょう。
製品を作っても発送できなければ、お客様へは提供できない。
メルカリなどで個人売買をしても、発送できなければ相手に提供できない。
こんなのは当然だと思いますが、実際には裏方業種である運送業を安く叩けるコストとして見られている部分は否めません。
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昨今ではヤマト運輸の問題が表沙汰になったことで、「ただの安く叩けるコスト」から
業界の背景までメディアで取り上げられ、物流の利用者意識も変わりつつあると実感します。
しかし、意識が変わったからと言って物流予算を多くする利用者(特に企業)はまだまだ少ないです。
そもそも利益の少ない企業がすぐさま物流費の増額に踏み切ってしまうと、少ない利益がさらに少なくなることはバカでもわかります。
まぁここまでは物流以外の産業が自社で改革を起こさないとどうにもなりませんね。
問題はここから…。
運送会社の意識はさらに低い
運送会社の現状としては、「人手不足」「拘束時間」「低賃金」があげられます。
小規模ではほぼ取り組んでいないのが現状ですが、中規模以上ではあの手この手と試行錯誤されているのがうかがえます。
これを解消するには多くのコストがかかるためなんとか捻出しなければいけないのは頷けますが、その中でも「手数料収入」として大きな利益を得れる庸車やマッチングと呼ばれる、自社又は他の運送会社から来た荷物を下請けに依頼する方法が業界全体の「人手不足」「拘束時間」「低賃金」を、いい方向に向かう足かせになっていると感じます。
規模の暴力はまぁまぁ強い
大規模になればなるほど、認知度は高くなり物理的な仕事量も多くなります。
これを他の運送会社へ流していきます。
例えば
- 元請A社30,000円で受注→B社へ28,000円で依頼(2,000円の利益)
- B社28,000円で受注→C社へ26,000円で依頼(2,000の利益)
- C社26,000円で受注→D社へ24,000円で依頼(2,000の利益)
- D社24,000円で受注→実運送を行う(-3,500円の損失)
この流れはごく当たり前のように毎日行われています。
D社は小規模で力がないため、とりあえずキャッシュを回すため受けざる負えず騙し騙し経営をしている状態です。
当然D社に力がない原因は経営に問題があり、淘汰されるべきかもしれません。
ですが、需要と供給が間に合ってない物流業でつぶし合いってどうなんですかね?
競争社会なので、考えが甘いと言われればそれまでですが…。
自社で原価割れ案件を回すことの意味って何?
原価は各社それぞれありますが、一律同じだとして考えます。
B社が実運送をした場合には500円の利益が出る状態で、そこから2,000円の手数料をとればC社以下は実運送をすればマイナス域に突入します。
これではマイナス域の会社では「人手不足」「拘束時間」「低賃金」の問題が解決できず、さらに加速するだけではないでしょうか?
そんなイジメじみたことせずに、M&Aした方が円滑に回るんじゃないの?
弊社でもやってみた
トラボックスという荷物情報の共有サイトであった案件で、どの程度自社と差がでているか見てみましょう。
案件:〇〇運送
積地:兵庫県神戸市中央区(市役所出発として計算)
降地:広島県安佐南区(区役所到着として計算)
車種:10tw
品目:パレットもの(貸切)
料金:46,000円(税抜き)
情報としてはこの程度で積降し作業、待機時間が合計1.5Hとして計算します。
弊社見積り
見積額:69,748円(税抜き)
差額:46,000円ー69,748円=-23,748円
関西からの荷物は相場的には、この程度の料金設定が多く、距離が299kmなので1km走る度に79.4円落としながら走っていることになります。
原価は会社によって違うとは言っても、この差は誤差といえるでしょうか?
これで「ヒト・モノ・サービス」への投資は出来るでしょうか?
もう少し全体のことを考えてもいいんじゃない?
業界としての全体を考えても、中小の存在は大きいと思います。
物量の回ってくる会社は力があり、下請けに流すことは流通の面でもいいことだと思いますが、手数料を取ったら赤字になる案件を回すことは本当に良いことなんでしょうか?もう1度考えてみてほしいですね。
そして、力のない会社は力を付けない選択をしてきた結果であり、競争に負けている状態です。文句ばかり言ってないでもっと前向こうよ!