壮大なゲームだと思え

「人生は壮大なゲームである」との教えから、会社の成長を実現させようと模索している一役員の戯言である。ちなみに「人生は壮大なゲームである」は今思いついたので誰の教えでもない。

運送会社は庸車、マッチングを多用している。循環としては非常にいいと思うが・・・

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物流は社会にとって重要な業種である

これについて異論のある方は少ないでしょう。

製品を作っても発送できなければ、お客様へは提供できない。

メルカリなどで個人売買をしても、発送できなければ相手に提供できない。

こんなのは当然だと思いますが、実際には裏方業種である運送業を安く叩けるコストとして見られている部分は否めません。

以前の記事⇩

 

yojichichikun.hateblo.jp

 昨今ではヤマト運輸の問題が表沙汰になったことで、「ただの安く叩けるコスト」から

 業界の背景までメディアで取り上げられ、物流の利用者意識も変わりつつあると実感します。

しかし、意識が変わったからと言って物流予算を多くする利用者(特に企業)はまだまだ少ないです。

そもそも利益の少ない企業がすぐさま物流費の増額に踏み切ってしまうと、少ない利益がさらに少なくなることはバカでもわかります。

まぁここまでは物流以外の産業が自社で改革を起こさないとどうにもなりませんね。

問題はここから…。

 

 

運送会社の意識はさらに低い

運送会社の現状としては、「人手不足」「拘束時間」「低賃金」があげられます。

小規模ではほぼ取り組んでいないのが現状ですが、中規模以上ではあの手この手と試行錯誤されているのがうかがえます。

これを解消するには多くのコストがかかるためなんとか捻出しなければいけないのは頷けますが、その中でも「手数料収入」として大きな利益を得れる庸車マッチングと呼ばれる、自社又は他の運送会社から来た荷物を下請けに依頼する方法が業界全体の「人手不足」「拘束時間」「低賃金」を、いい方向に向かう足かせになっていると感じます。

 

 

規模の暴力はまぁまぁ強い

大規模になればなるほど、認知度は高くなり物理的な仕事量も多くなります。

これを他の運送会社へ流していきます。

例えば

  1. 元請A社30,000円で受注→B社へ28,000円で依頼(2,000円の利益)
  2. B社28,000円で受注→C社へ26,000円で依頼(2,000の利益)
  3. C社26,000円で受注→D社へ24,000円で依頼(2,000の利益)
  4. D社24,000円で受注→実運送を行う(-3,500円の損失)

この流れはごく当たり前のように毎日行われています。

D社は小規模で力がないため、とりあえずキャッシュを回すため受けざる負えず騙し騙し経営をしている状態です。

当然D社に力がない原因は経営に問題があり、淘汰されるべきかもしれません。

ですが、需要と供給が間に合ってない物流業でつぶし合いってどうなんですかね?

競争社会なので、考えが甘いと言われればそれまでですが…。

 

 

自社で原価割れ案件を回すことの意味って何?

原価は各社それぞれありますが、一律同じだとして考えます。

B社が実運送をした場合には500円の利益が出る状態で、そこから2,000円の手数料をとればC社以下は実運送をすればマイナス域に突入します。

これではマイナス域の会社では「人手不足」「拘束時間」「低賃金」の問題が解決できず、さらに加速するだけではないでしょうか?

そんなイジメじみたことせずに、M&Aした方が円滑に回るんじゃないの?

 

 

弊社でもやってみた

トラボックスという荷物情報の共有サイトであった案件で、どの程度自社と差がでているか見てみましょう。

www.trabox.ne.jp

案件:〇〇運送

積地:兵庫県神戸市中央区(市役所出発として計算)

降地:広島県安佐南区(区役所到着として計算)

車種:10tw

品目:パレットもの(貸切)

料金:46,000円(税抜き)

情報としてはこの程度で積降し作業、待機時間が合計1.5Hとして計算します。

 

弊社見積り

見積額:69,748円(税抜き)

差額:46,000円ー69,748円=-23,748円

関西からの荷物は相場的には、この程度の料金設定が多く、距離が299kmなので1km走る度に79.4円落としながら走っていることになります。

 原価は会社によって違うとは言っても、この差は誤差といえるでしょうか?

これで「ヒト・モノ・サービス」への投資は出来るでしょうか?

 

 

もう少し全体のことを考えてもいいんじゃない?

業界としての全体を考えても、中小の存在は大きいと思います。

物量の回ってくる会社は力があり、下請けに流すことは流通の面でもいいことだと思いますが、手数料を取ったら赤字になる案件を回すことは本当に良いことなんでしょうか?もう1度考えてみてほしいですね。

そして、力のない会社は力を付けない選択をしてきた結果であり、競争に負けている状態です。文句ばかり言ってないでもっと前向こうよ!

中小企業の運送業は退職率が高いのは当たり前

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どうもこんばんは。こんにちは。ヨジチチでございます。

世間では人手不足、人手不足と叫ばれていますが、その中でも特に人手不足が顕著に出ている業界、それが運送業です。

人手不足ランキングでもベスト3に入るほど、業界全体がアタフタしております。

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引用:国土交通省

どの程度かと言うと、全業種の有効求人倍率1.46に対して、2.73と、約2倍の違いが出ています。

大手企業は違いますが中小企業では1年以内での離職率がバカ高いんですね。

※統計は出ていませんが、個人的な情報となります。

その理由を私なりに上げていきたいと思います。

 

 

運送業の給料安い

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引用:最新版!40歳年収「64業界別」ランキング | 賃金・生涯給料ランキング | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

業界の平均値が500万円と、見ての通り54位。

1位はコンサルティングの1,316万円

2位は総合商社の1,232万円

大規模、中規模、小規模では当然ながら差があり、平均値とはかけ離れた数字となります。

そもそもこの500万円も盛りすぎじゃない?

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こんな低賃金では、離れてしまいますよねー。

バブル期は月100万なんて給与もあったらしいですが、今は微塵もありません…。

 

 

運送業の拘束時間長すぎ

 2019年4月から『働き方改革』の1つとして、残業時間に上限を設ける規制が実行されます。

しかし、運輸、医師、建設はこの規制に5年かの猶予があり、運輸は5年後の施工後も年960時間の残業と他産業に比べゆるーい規制となります。

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現状の拘束時間293時間(320時間)さえも守れていない会社が全体の84%と非常に多く、給与よりも『休日、労働時間、やりがい』を重視する働き手とは、まったく異なる方向になっています。(そもそも給与低すぎだけどねw)

これでは、他産業との差がさらに開くことは明確で、現在のドライバー職の方々も転職を視野に入れるでしょうね。

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運送業の休日少なすぎ

毎週日曜年52回+祝祭日年20日の合計72日、これが年間の休日という会社も少なくはないです。

これにプラス隔週土曜年26回がついて、合計98日が妥当なところでしょうか?

98でも少ないうえに休日出勤があればさらに少なくなりますね…。

他産業の平均年120日と比べても大きな差となっています。

 

 

運送業の価値が低すぎ

 

yojichichikun.hateblo.jp

 

 

yojichichikun.hateblo.jp

 過去記事👆にあるとおり、激務で給料も安い、『価値の低い仕事』という全体的なイメージがついていることは否めません。

底辺職業ってどんな職業?という質問でもやはり出てきていますね。

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この業界で働いている私としては、腹が立ちますがしっかり受け入れることは重要ですね。

 

 

リスク高すぎ

トラックを運転する職業のため、『事故』と常に隣り合わせであり、自分がけがに合うよりも相手を殺してしまう可能性は非常に高く、リスクが伴います。

トラックの免許をとって「よしドライバーになろう!」と本人がやる気を出してくれても、親戚・友人から事故のリスクを説かれ断念してしまうケースも少なくはないです。

当然、内勤の職種に比べればリスクは高いことは否めません

1日中ウロウロして電話も引っ切り無しに掛かってくる営業職の方が。事故リスク高そうだけどなぁ…。

 

 

まとめ

運送業を簡潔にまとめると

給料が安いくせに働く時間が長いし社会的イメージが悪すぎてやってられるか!

こんな感じになるでしょうね。

自分で書いてて腹立つわー。全部改善して入りたい会社にしてやろうじゃないか!

 

 

運送業にとって安全運転は最重要なんですよ?ウインカー出せバカ

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どうもこんにちは。ヨジチチでございます。

寒い!とにかく寒い!布団から出るのが億劫になるほどの寒さですね。

こんな時期には暖かい鍋物が非常にほしくなりますが、まだ今はシーズン食べてませんw

取締役の役職をいただいておりますが、なにせ小規模なので私が現場に出ることがたまにあります。(月3-5回?)

yojichichikun.hateblo.jp

つい先日、大阪までのお仕事をいただきまして高速道路をヒマだなぁと思いながら進んでおりました。

わたくしこう見えて(どう見えて?)自称『超安全運転者』なので、スピード78km維持を高速道路では心掛けているため、周りの車にすっごい抜かれるんですよね。

往復で100台以上には抜かれたんじゃないかな?

そんなにスピード出して燃費のこと考えてんのかね。

なんて、どうでもいい心配をしているときに半年前からうちのドライバーに、「これやってる運送会社見たことないからみんなやろうぜ!」と言っている、あれを思い出しました。

 

 

ウインカーを出そう

ウインカーを出す!

出してるよバカ!と思うかもしれません。実際「出してるよ!」と言われました。

そりゃみんな出してますよ。でも私から言わせれば出していないようなものです。

道路交通法上では、『交差点の3秒手前』、『進路変更する30m手前』でウインカーを出すことと定められています。

これを守ってるドライバーは一般の人でもプロドライバーでもほぼいません。

実際に大阪の往復で100台以上見ましたが、進路変更するときに、これを守っていたドライバーの人は皆無でした。

割合で言えば80%が「進路変更をはじめてから」、15%が「0.5秒前から」残りの5%に至っては「出さない」状態でした。

一般の人はまだわからなくもないですが、プロドライバーでごく普通にこんな運転をしているのは情けないですね。

 

 

なぜウインカーを出すのか?

単純に危険だからでは簡単すぎるので、こんな経験はないでしょうか?

前方を走っている車が急に左折して衝突しそうになった…。

これと同じことを、ほぼ全員がしています。

実際に危険な目にあっているのに、自分でもやっている。意味不明です。

数多くの車が走っていて性能の面ではそう変わりませんが、ドライバーの技術には結構な差があります。

自分基準で運転をしていると非常に危険です。

事故は誰しも起こしたくない思いは一緒なので、危険を回避できる手段があるならやるましょうよ。

危険極まりない!

 

 

プロドライバーは意識を高く持ってほしい

私が経営するにあたり目標としている1つに「運送業を、なりたい職業ランキング20位」があります。こんな小さい会社が掲げる目標としては、大きすぎる目標だとは思いますが、これを達成するためにはドライバーのマナーは結構重要な部分であります。
トラックは大きくちょっとしたことでも、歩行者や一般のドライバーに恐怖を与えます。そんな思いをした未来の子ども達はどう思うでしょうか?ドライバーになりたいと思いますか?間違いなく思わないでしょう。今が良ければいいではなく、将来も考えた運転をしていただきたいですね。まぁ、うちのドライバーも全員はできてないけどねw

運送業の安全会議はどうやる?コミュニケーションを深めよう

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どうもこんにちはヨジチチでございます。

かれこれ2カ月ほど空いてしまいましたが、『会社が潰れると終了』と、自己紹介で書かせていただいたので勘違いされた方もいるかもしれません。

まだ潰れていませんよ!!

 

yojichichikun.hateblo.jp

 2018年11月現在では、年末ということで運送業全体的に非常に忙しくなってきており、どこの会社もバタバタしていることでしょう。

そして例年より人手不足の影響から運送会社の取り合いが起こっています。

運送料金を通常の2倍出しても運んでもらえない」と言う荷主さんの話もちょこちょこ耳にしますが、この状況は年々悪化することがほぼ決定と言っても過言はないでしょうね。

前から少しでもいい料金を出して運送会社を抱えていた荷主さん』は、この問題をかなり軽減できたのではないでしょうか?

荷主さん>運送会社の構図が、荷主さん<運送会社に変化していることを、うちのような小さい会社でも実感できるレベルまできています。今後少なくとも5年は、こんな感じが続くでしょうね。

しかし、この構図でいい気になっていたのでは「ただのバカ経営者」です。

ただのバカ経営者」をほっといておけばライバルが減るので良いじゃないか!と考える人もいるでしょうが、それではあまりにも働いている社員さんたちが可哀そうですよね。

伸びるだろうと思える今だからこそやった方がいい取り組みはあります。

その一つで、実際に私の会社でやっている事例を挙げてみよと思います。

 

 

運送業の安全会議

運送業には『安全会議』を行うことが義務化されています。

www.unsapo.com

  1. 事業用自動車を運転する場合の心構え
  2. 事業用自動車の運行を安全を確保するために厳守すべき基本事項
  3. 事業用自動車の構造上の特性
  4. 貨物の積載方法
  5. 過積載の危険性
  6. 危険物を運搬する場合に留意すべき事項
  7. 適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況
  8. 危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法
  9. 運転者の運転適正に応じた安全運転
  10. 交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因並びにこれらの対処方法
  11. 健康管理の重要性
  12. 安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車の適切な運転方法

以上の12項目となっています。

分厚いマニュアルもあり、分かりやすく書いてあるのでしっかり読めば理解できると思いますが運送会社のよくあるパターンとして、「壇上に講師を一人置いてただ喋るだけで終わる」なんてことがよくあります。

 

 

人間の理解できる範囲は全体の1~3割

義務としては先ほどの方法で意味を成すので問題ありませんが、説明したら終わりではあまりにも雑すぎますよね…。

話を聞いただけでは残念ながら、数日経つと1~3割程度しか覚えていません。

講演や講習を受けて『あー良かった!』と思っていても、数日後にはあまり覚えてない経験はありませんか?

良かったと感じていても1~3割しか覚えていないのに、興味もない安全会議をただ聞いただけではそれ以下の数値になるでしょう。

これでは、講師として立った方も、聞いていた社員さんも時間と労力の無駄ではないでしょうか?

考え方としては1割でも理解してもらえればやった価値があると思う人もいるかもしれませんが、それはそれでいいと思います。

私個人としては、間違っていると思うので賛同はできませんが…。

 

 

安全会議の方法(ブレーンストーミングとKJ法)

せっかく時間と労力を割いてやるんですから、「成果として出してほしい」や「その時間を別で使ってほしい」と思うわけです。

グループディスカッションを取り入れる方法もいいと思いますが、グループディスカッションだと、よく喋る人と、無言の人が出てきてしまいます。

これではあまりよくないのでブレーンストーミングやKJ法を使います。

idea-soken.com

説明すると長くなるので↑で確認してください。分かりやすく解説してあります。

この方法をとると、1人が発言しないなどの問題がなくなりますし、対処すべきことが分かりやすく収束します。

 

例えば、5人のグループで行い問題定義だけを投げかけます。

義務の1番にある『事業用自動車を運転する場合の心構え』についての理解を深めたいとします。

このままでは堅苦しいので『安全運転のために何を心がけてますか?』などの分かりやすい言葉に変換し、意見を出し合いまとめます。

こうすることにより、自発的にやらざる得ない状況を作り、ディスカッションでも書いたことに対する個々の意見も出ます。

だいたい会議や講習は時間が気になってしょうがないものですが、時間も気にならなくなりコミュニケーションも取れます。

 

 

まとめ

 このように1つの会議をとってみても何かしらの工夫をすることにより、ドライバーという職業柄もあって、「時間も取りにくく意味のあるものにしたいし、プライベートな時間を増やしてあげたいし、コミュニケーションもとってもらいたい願望」をかなえることも可能かと思います。

もっといい方法があれば教えてくださいw

 

【運送業】トラックで利益を出すためには原価を知ろう【続き】

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どうもこんにちは。ヨジチチでございます。

前回『トラックの原価計算』についてお話しましたが、1回では納まりきらず今回はその続きとなります。

∇前回の記事はこちらから! 

yojichichikun.hateblo.jp

 

 前回までで、『変動費』と『固定費』については算出し細かい数字まで出ましたが、これではまだ原価計算が終了!とはいきませんので、もう少し手を加えていきましょう!

 

 

トラック実車率を算出する

これに加えて『実車率』が重要となります。

実車率って何?

 実車率とは、自動車の輸送効率を示すもので、全走行距離に対して、自動車が旅客や貨物を乗せて走行した距離の占める割合を指したもの。

言葉だけでもわかりやすいとは思いますが、例をあげてみます。

1日の総走行距離100kmで、荷物を積んで走行した距離が60kmの場合

60km×100km×100=60%

実車率50%となります。

荷物を積んで走行した距離60kmについては運送料金が発生するので問題ありませんが、残りの40kmに対しても変動費や固定費などの経費はかかってきますので原価に加えなければ採算が合わなくなります。

 

 

 

実車率を変動費に加算する 

前回算出した『変動費』1km当たり56.1円に料金の発生しない区間の経費も加算します。

56.1円÷60%=93.5円

変動費は1km当たり93.5円となります。

実際には会社により実車率は様々なので、この割合は変化するものですが業界全体の平均値は60~65%程度です。

 

 

 

実車率を固定費に加算する前に労働時間

固定費』については1km当たりではなく、『1時間当たり』に対して割合をかけてあげなければいけません。

なので、まずは1か月の1台当たりの平均労働時間を算出します。

運転日報やデジタコによって集計しますが、ここでは1か月当たり200hとしましょう。

65.95万円÷200h=3,298円(四捨五入)

 

 

ここに実車率を入れる

1時間当たりの固定費が出ましたので、ここに実車率の60%を入れ込みます。

3,298円÷60%=5,497円(四捨五入)

固定費は1h当たり5,497円となりました。

 

 

実際の原価を出してみる

これで原価計算の元となる数値は全て出揃いました!

それでは実際の運行を元に原価を算出してきましょう。

 

走行距離100km、積降し込作業時間合計30分、運転時間1時間

現在の運送料金15,000円の場合

※時間は10進法に変換してください。

www.calc-site.com

100km×93.5円=9,350円

5,497円×1.5h=8,246円(四捨五入)

9,350円+8,246円=17,596円

17,596円-15,000円=2,596円

実際の運送料金との差2,596円が赤字となってしまいました…。

ここに高速料金が加われば、さらにその差は広がりますね。

この運行1つを見れば赤字ですが、その他の運行も算出してみて全体で採算がとれていれば問題ないとするかしないかの材料となり非常にわかりやすいと思います。

 

 

まとめ

こんな感じで現在の料金は適正なのか?新規のお客様への見積もりは適正なのか?など、幅広く活用してみてはいかがでしょうか。

さらに細かい数字を入れて、より具体的かつ精度の高い原価計算を行ってみるのもいいかもしれませんね。

【運送業】トラックで利益を出すためには原価を知ろう

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どうもこんにちは。ヨジチチでございます。

つい先日ほとんど見ないテレビをなにげなく見ていると、深夜枠ではありましたが『標準貨物自動車運送約款等の改正』についてのCMが流れているのを目にしました。

標準貨物自動車運送約款等の改正概要:全日本トラック協会リーフレット

運送業の料金についてピンポイントでCMを流すのは初めて見たので、ある程度は行政としての「本気度」のようなものは垣間見えたのかな?と思います。

 

 

運送業の現状

少しずつ、「まとも」になってきている運送業ですが、依然として薄利であることには明白です。

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私の記事では、この表をしつこいくらいに載せていますがご了承くださいw

全体の営業利益率ですら0.2%(5憶だと100万円)となっており、少しの影響で簡単に崩れ落ちる状況には変わりありません。

しかも運送業全体の9割以上は50台以下で営業しており、ここだけで言えばいまだにマイナス域ですね。

私の会社もこの範囲に余裕で入りますが、溢れ出るやる気で営業利益率10%は出せると思い込んでいます!

昨今では運送料金の交渉を行う企業も増えてきておりますが、うまくいかず四苦八苦している企業も多いことでしょう。

 

 

トラックの原価を知る(原価計算)

取り組んでいる企業は増えていますが、特に20台以下の企業でうまくいっていない原因の1つとして、『原価を知らない』ことがあります。

 

例として、運送料金を現状の3万円から4万円に上げてもらう交渉の席を設けてもらったが、資料は何も用意せず燃料や人件費の高騰、拘束時間の短縮の影響で経営が厳しく現状の3万円から4万円に上げていただけませんか?」と荷主へ持ち掛けたらどうだろうか?

言ってることに理解はできるはずですが、月にその運行を10回行っているとすると、荷主から見れば全く同じことをしてもらって月に10万円のコストアップ、年間では120万円はかなり痛いとこで、簡単に「うん。いいよ。」とは言えません。担当者であれば上司へ話を上げるでしょう。

ですが、そこには1回1万円の値上げに対する明確な数字はありません。

担当者は上司を説得する材料がないので、こうなります。

 

担当者「〇〇運送さんが運賃を3万円から4万円上げてほしいと依頼がありました。燃料や人件費の高騰、拘束時間の短縮の影響で経営が厳しいらしいです。

上司「今、運送業厳しいみたいだからねー。ついにうちにも来たか。で、その根拠になる資料とかないの?はい上げますってわけにはいかないよね。

担当者「話だけでなにもいただいてません。

上司「じゃあ。根拠も弱いし他の運送会社探すのもめんどうだし、一応受け入れた形で1,000円だけ応じて囲っとこうか。

 

結果的に1,000円のアップとなりましたが、希望額とは9,000円の差があり失敗?とはいかないまでも成功とは言い難い微妙な感じです。

テクニックとして5,000円アップを狙って1万円の提案をすることもあるでしょうが、テクニック的なことを言い出すときりがないので素直に微妙な結果とします。

 

 

トラック原価計算の方法

 以前にこの記事を書きましたが、今回はもっと具体的なところになります。

yojichichikun.hateblo.jp

 

トラック 原価計算』で検索すれば、いろいろなテンプレートも出てくるので好みのものを使えばいいと思いますが、会社により項目が違うので個人的には、参考程度に見て自分で作成することをオススメします。

やり方として、まずは『変動費』と『固定費』に分類します。

ちょいちょい自社の数字も入れて解説します。

www.first-kessan.com

 

トラック変動費

変動費の項目として一般的なものは軽油(燃料費)、オイル(油脂費)、修理(修繕費)、タイヤ(タイヤ費)、尿素(尿素費)くらいでしょうか。

ポイント

 変動費、固定費ともに最低限車種別(軽貨物、2t、4t、8t、10tなど)に分け、1km当りの原価を計算しましょう。

※冷蔵車などの特殊車両を細分化することで、さらに正確な数字が出ます。

基本的に税抜きの数字を入力しましょう。(軽油税だけは入れています。)

出来るだけ年間の数字を使用しましょう。 

軽油(燃料費)
  •  走行距離÷軽油量=燃費

例:9万km÷3万L=3km

  • 軽油単価÷燃費=1km当りの軽油原価

例:120円÷3km=40円

 

 オイル(油脂費)
  • オイル代÷交換距離=1km当りのオイル原価

オイル代は、オイル量×単価+工賃

例:(30L×300円)+3,000円=12,000円

  12,000円÷4,000km=3円

 

 修理(修繕費)
  • 修理÷走行距離=1km当りの修理原価

修理は車検整備+3カ月点検費用+一般整備

例:車検整備20万円+3カ月点検費用10万円+一般整備5万円=35万円

  修理35万円÷9万km=3.9円

 

タイヤ(タイヤ費)
  •  タイヤ÷交換距離=1km当りのタイヤ原価

タイヤは、必要タイヤ数×単価+工賃

例:14本×2万円+4万円=32万円

  32万円÷4万km=8円

 

尿素(尿素費)
  • 走行距離÷尿素量=尿素燃費

例:9万L÷1,500L=60km

  • 尿素単価÷尿素燃費=1km当りの尿素原価

例:70円÷60km=1.2円

 

1km当りの変動費合計

軽油   40円

オイル   3円

修理  3.9円

タイヤ   8円

尿素  1.2円

合計 56.1円 と、なります。

次に『固定費』を計算していきますが、固定費に関しては会社により項目が全然違いますので、ポイントだけ抑えて書いておきます。

トラック固定費

 主な固定費として車両費、自動車取得税、重量税、自動車税、自賠責、車両保険、貨物保険、人件費、家賃などがありますが、そのほかにも水道光熱費、通信費と、上げればきりがないくらいあるので割愛します。

固定費に関しては1km当りの計算ではなく、時間当たりの費用を算出します。

そのために、まずは月1台当りにどの程度固定費が必要か見ていきましょう。

 

車両費

新車で購入すると、大抵の場合リースか借入だと思います。

ここを基準にするとキャッシュともリンクするので、個人的には理想的だと思っていますが、年数の設定は3年でも7年でも可能です。

短くすると原価が増える、長くすると原価が下がることだけ理解していれば問題ありません。

  • 車両費÷リース・借入期間=月当りの車両費

例:1,200万円÷60回(5年)=20万円

 

自動車取得税

自動車取得税も上記と同じ期間で設定します。

  • 自動車取得税÷60回(5年)=月当りの自動車取得税

例:12万円÷60回(5年)=0.2万

 

重量税、自動車税、自賠責

これらのものは購入時、車検時に1年間一括で支払うので月割で算出します。

※購入時は1年とは限らない。

  • (重量税+自動車税+自賠責)÷1年(12回)=月当りの重量税、自動車税、自賠責

例:15万÷1年(12回)=1.25万

 

車両保険、貨物保険もほぼ同様の方法で算出できます。

 

人件費

固定給で月の変動がない場合には簡単に算出できますが、歩合や残業代が固定ではない場合には、その部分は変動費として算出します。

 

ポイント

健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険、労災保険など会社負担がある費用は人件費に含めます。

独自の福利厚生を入れても可。

全体的に固定費はどこに何が入っているか理解できていれば、ある程度自由にしてもいいと思います。

  • (全体ドライバー+それ以外の運送にかかる人件費+管理者)÷車両数=月当りの人件費

 例:(400万円+20万円+70万円)÷10台=49万円

 

家賃

自社所有の場合には固定資産税を1年で割って算出する。

  • (駐車場+駐車場+倉庫+事務所)÷車両数=月当りの家賃

例:(10万円+10万円+10万円+5万円)÷10台=3.5万円

 

雑費

その他の細かい費用はここにまとめます。(細分化するとわかりやすい)

雑費、間接費、その他と項目は自由に設定しましょう。

  • 雑費÷車両数=月当りの雑費

10万円÷車両数=1万円

 

変動費・固定費はこれで完了だが、これで終わりではない!

変動費と固定費の原価が出ましたので、まとめてみましょう。

  • 変動費

軽油   40円

オイル   3円

修理  3.9円

タイヤ   8円

尿素  1.2円

合計 56.1円 

  • 固定費

車両費       20万円

自動車取得税   0.2万円

重量、自動車税 

自賠責     1.25万円

人件費       40万円

家賃       3.5万円

雑費         1万円

合計     65.95万円

年間走行距離が9万kmなので、月換算で7,500kmとなり1か月の運送原価は

変動費(56.1円×7,500km)+65.95万円=108万250円となりました。

しかし!まだこれでは終わりません!

あくまで1か月の原価がこれ!というだけで、利益も実車稼働も入っていません。

長くなったので今回はこのあたりにします。次回をおたのしみに!

 

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運送業大手は儲かってるの?儲かってないの?

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運送業界も低迷から脱出している?

以前より運送業界は全体的に見て『儲からない業種』だということを申しておりますが、その中でも『儲かっている会社』は確実に存在しています。

 

yojichichikun.hateblo.jp

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平成25年を境に、運送料金低下や人件費高騰、コンプライアンス強化が相まって、どうしようもなくなった運送業界は、採算の取れない客には値上げ、取引停止を強行し、平成26~28年のデータでは、業界の景気は上向いていることが見て取れます。

しかしながら101台以上の車両保有数ですら営業利益率1%と、2015年の全産業約4%を大きく下回ります。

営業利益│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券

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参照:経営分析のススメ

3%の違いは少ないように見えますが、かなり大きな差で経営にも大きく響きます。

例:売上10億 営業利益率4% 4,000万

        営業利益率1% 1,000万と、その差なんと3,000万!

大型トラック2台買えるほどの金額…バカにできませんね。

 

それでも100台以上の企業は一応儲かってると言えますし、ここ数年の実績からいけば徐々にではありますが、右肩上がりになるかもしれません。

 

 

 闇の部分は発表されていない

全体的に見れば右肩上がりの傾向は間違いありませんが、細かい数字を見ていくと実は違った側面が垣間見えるんですねぇ。

 

私の友人が勤務している運送会社では経常利益約4%と優良企業ですが、その内容を聞くと驚きの事実が判明しました。

freeway-keiri.com

 

売上高  100億

経常利益 4億

車両数  400台

いいよね!うらやましい!ちょっとくれ!

 

101台以上の運送会社でも数字はかなり良い部類に入ります。

この会社のメインは陸路を走る「陸運」と、船舶の荷降ろしを行う「荷役」の2本柱で売上を上げており、陸運部門では月に2,000万の赤字を出しているそうです…。

年間2億4,000万の陸運部門赤字を、荷役部門の6億4,000万の利益で補っており、実質、荷役のおかげでなんとかやってる状態で、運送業としての利益は出ていません。

運送だけで利益を出している企業は当然ありますが、これだけの企業規模でも赤字になってしまう運送業がある事実には衝撃を受けました。

 

 

中小零細企業はどうする?

 この話を聞けて良かった!

当たり前の方法(値上げとか?)では同じ結果を招くことが分かったので、資本力の弱い中小零細企業は意思決定の早さで様々な変化球(アイデア)を投げて新たな方向性を見出さなければ生き残る道はありませんね。

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