どうもこんにちは。ヨジチチでございます。
前回『トラックの原価計算』についてお話しましたが、1回では納まりきらず今回はその続きとなります。
∇前回の記事はこちらから!
前回までで、『変動費』と『固定費』については算出し細かい数字まで出ましたが、これではまだ原価計算が終了!とはいきませんので、もう少し手を加えていきましょう!
トラック実車率を算出する
これに加えて『実車率』が重要となります。
実車率とは、自動車の輸送効率を示すもので、全走行距離に対して、自動車が旅客や貨物を乗せて走行した距離の占める割合を指したもの。
言葉だけでもわかりやすいとは思いますが、例をあげてみます。
例
1日の総走行距離100kmで、荷物を積んで走行した距離が60kmの場合
60km×100km×100=60%
実車率50%となります。
荷物を積んで走行した距離60kmについては運送料金が発生するので問題ありませんが、残りの40kmに対しても変動費や固定費などの経費はかかってきますので原価に加えなければ採算が合わなくなります。
実車率を変動費に加算する
前回算出した『変動費』1km当たり56.1円に料金の発生しない区間の経費も加算します。
56.1円÷60%=93.5円
変動費は1km当たり93.5円となります。
実際には会社により実車率は様々なので、この割合は変化するものですが業界全体の平均値は60~65%程度です。
実車率を固定費に加算する前に労働時間
『固定費』については1km当たりではなく、『1時間当たり』に対して割合をかけてあげなければいけません。
なので、まずは1か月の1台当たりの平均労働時間を算出します。
運転日報やデジタコによって集計しますが、ここでは1か月当たり200hとしましょう。
式
65.95万円÷200h=3,298円(四捨五入)
ここに実車率を入れる
1時間当たりの固定費が出ましたので、ここに実車率の60%を入れ込みます。
式
3,298円÷60%=5,497円(四捨五入)
固定費は1h当たり5,497円となりました。
実際の原価を出してみる
これで原価計算の元となる数値は全て出揃いました!
それでは実際の運行を元に原価を算出してきましょう。
例
走行距離100km、積降し込作業時間合計30分、運転時間1時間
現在の運送料金15,000円の場合
※時間は10進法に変換してください。
100km×93.5円=9,350円
5,497円×1.5h=8,246円(四捨五入)
9,350円+8,246円=17,596円
17,596円-15,000円=2,596円
実際の運送料金との差2,596円が赤字となってしまいました…。
ここに高速料金が加われば、さらにその差は広がりますね。
この運行1つを見れば赤字ですが、その他の運行も算出してみて全体で採算がとれていれば問題ないとするかしないかの材料となり非常にわかりやすいと思います。
まとめ
こんな感じで現在の料金は適正なのか?新規のお客様への見積もりは適正なのか?など、幅広く活用してみてはいかがでしょうか。
さらに細かい数字を入れて、より具体的かつ精度の高い原価計算を行ってみるのもいいかもしれませんね。