運送業(ドライバー)の労働時間はとにかく長い
以前こちらの記事で少し触れましたが、トラックドライバーの労働時間というものはとにかく長い。
平均12時間以上働き長距離のドライバーであれば数日家に帰れないこともあります。
「給料も安くプライデートな時間もない。」これでは特に今の時代の次世代を担う若者がトラックドライバーになるわけありません!
トラックも自動運転の開発、実験を行い人手不足解消に力を入れていますが、まだまだ先は長く1人が1つの車を運転する今のスタイルは当分変わらないでしょう。
物流がないと困る企業さんは多くいると思います。
そこで国が「労働時間削減」に対してちょっとしたルール変更をしたので、中身を見ていきましょう。
標準貨物自動車運送約款の改正
自動車運送事業(一般貸切旅客自動車運送事業を除く。)の
監査方針について
トラックドライバーの労働時間が長い要因として
- 附帯作業(荷物を指定場所へ運ぶ、ラベルを貼るなど)
- 積込み、取卸し
- 荷主都合の待機時間
この3つが大きな要因となっている企業は多いです。
あくまで運送の仕事はA地点→B地点に運ぶことが仕事であり、その他の作業は運送の仕事とは異なります。
ですが上記3つのことをドライバーが運送料金の中で行って、それを「付加価値」として提供したことにより今ではそれが「ごく当たり前」となってしまっているのが現状です。
荷主都合の待機時間も「卸せないんだから待つのが普通」となっていますので、多いとこでは労働時間の半分は待機時間なんて話も聞いたことがあります。
そこで新たに平成29年11月より「標準貨物自動車運送約款の改正」を義務付けました。
この画像のとおり「運送にはうんそうの対価」を、「附帯作業、積込み・取卸し、荷待ち時間」にはその対価を分けるように運送業者へ通達がきました。
例:改正前
運送費10,000円(その他込々)=合計10,000円
改正後
運送費10,000円+附帯作業5,000円+積込み・取卸し5,000円+荷待ち時間30分以降30分毎5,000円=合計25,000円
例では同じ運送で料金が2.5倍となり、運送業者にとっては適正運賃で非常にありがたい改正となります。
しかし、この「標準貨物自動車運送約款」には拘束力がなく、すぐさま運送料金アップへつながるほどの効果はないでしょうが、運送業というブラックな業界にやっと手を差し伸べてくれたとに感謝しますかね。
トラックドライバー荷待ち時間記録義務化
「標準貨物自動車運送約款」の改正前に平成29年7月1日より運送事業者へ貨物自動車運送事業輸送安全規則一部改正に伴い「荷待ち時間記録義務化」が行われました。
グラフのとおり、1運行に対する「荷待ち時間」が
1時間~2時間26.4%
2時間~3時間13.6%
3時間以上 15.1%
と「待ちが多い」ことが物流業界全体で見て取れます。
トラックドライバーの拘束時間が多い要因として「荷待ち時間」の改善は急務でありますが、運送業者では対処できません。
このことから国土交通省が『乗務記録へ1運行30分以上の荷主都合の荷待ち』があった場合には記録することを義務付け、その記録を元に国土交通省から長時間労働を生じさせている荷主へ勧告等を行うにあたっての判断材料とするようです。
以前から荷主が労働時間を無視した指示や強要をしていた場合の荷主勧告制度がありましたが、とりあず制度だけつくっとけ感満載で機能していたとは言えません。
この制度に本腰を入れた形が今回の「荷待ち時間記録義務化」でしょうね。
先日あった弊社での実例
2019年実際に弊社が取引する大手企業での出来事…。
運送会社30社ほどを集めての会議があり、一通りの流れを終え待ちに待った「質疑応答」のお時間、私を含め数人が当然のごとく待機時間に関する質問でした。
しかし、荷主さんからは「現在検討しています。対応はしっかりしていきます。」と、まさにマニュアルどおり…まだまだ先は長いかもしれません。
まとめ
まだまだ序章に過ぎない感はいなめませんが、これからより一層トラックドライバーの働きやすい環境改善に繋がればと思います。
また、それに伴い運送会社としての改善策も見つけていくつもりです。