他の業種に比べ運送会社の経営者はもとより、そこで働いているパートナーは『コミュニケーションをとることについてあまり重要視していない。』
パートナーと表記しているのは従業員、社員という言葉が私自身あまり好きではないので変えています。特に従業員は『従う』が奴隷のような感覚をもってしまうのでイヤだから。
話がそれましたが、『コミュニケーションをあまり重要視していない。』では少し語弊があるので正しく言い換えるなら『コミュニケーションがとれないから重要視しなくなった。』でしょうか。
ある程度の規模で内勤のパートナーも多い会社では一緒に過ごす時間もあり、ある程度のコミュニケーションがとれているでしょうが、ドライバーとして働いているパートナーとは1度会社を出てしまえば帰ってくるまで部下も上司もいない1人の時間になるので、そんな時間がとれなことは明白でしょう。
現在でも1日朝、夕合わせて1時間あれば御の字ですかね。
コミュニケーションをとる優先順位が低かった
現在事業承継が視野に入っている年代60歳以上の経営者が多くの時間を過ごしてきた運送業の黒歴史ともいえるブラックな状態がそうさせたのではないでしょうか。
ドライバーで稼ぎたい人が多く寝る時間が少しあれば残りの時間は働きたい、そのドライバーが稼げば経営者はウハウハなので働かせる、行政は見て見ぬふりと24時間営業のような体制でドライバーと顔を合わせないこともザラだった時代がありました。
ドライバーは稼ぐ、経営者は稼いで会社が儲かる、行政は放置と、ドライバーと経営者側の利害が一致していたし仮に退職しても次がいくらでもいたのでWINWINのいい時代だったのかもしれません。
事故はメチャメチャ多かったですがね。
この状態が長い年月をかけて変化
長い年月をかけて徐々に変化していることに薄々感じながらも無視していたのかもしれません。
ここ6・7年は特に著しい変化が見られ、もう無視できないほどまできており『運送料金の下落、燃料高騰、働き方改革、人手不足』と問題は山積みです。
運送料金の下落は2018年現在ではほぼ底を打った形になっており、すこーーーーしずつではありますが上昇傾向になっています。
燃料高騰については正直先が見えない状況ですが、大きく下がることはないでしょうが大きく上がる可能性だけがある高止まりの状況ですかね。
働き方改革と人手不足が一番大きな課題であり、運送業では一番頭が痛いところになります。
運送業は全業種に比べ『労働時間が2割多く、給料が2割安い』と言われています。
単純に労働時間を2割削って給料を2割多く出すことは、すでに薄利である運送業にとって超スーパーミラクルウルトラ難しい課題です。
これに付随して人も寄ってこない業種となったことによりコミュニケーション(職場環境)がより大事となってきました。
昔の経験が仇となる
メディアでは『働き方改革』を掲げ大企業では週休3日制を検討するなど、隣の芝生が青く見えることでイケイケだった今の40代後半、50代のドライバーまで考えが変わり転職を視野に入れるようになりました。
しかし会社全体を考える経営者側はそう簡単に対応できず、それに見合った運送料金を受け取れなければ死ねます。
そしてここで問題なのが『良かった時代の行い』になります。
コミュニケーションという重要なものを無下にしてきたことが利害が一致しなくなった今、会社の方針を伝えることもできない関係になってしまっていることがドライバーからも不安となり転職の後押しをする形になっています。
運送業でできるだけコミュニケーションをとる対策
拘束時間が長いことや帰ってくる時間がバラバラなどの問題はありますが、コミュニケーションをとれる場を思い切って作ることが大事でしょう。
実際に各運送会社で取り組んでいる事例として
- 1日1人帰ってくる時間を早くして30~1時間の個人面談をする。
- 1日1人の仕事についていく。
- 思い切って1日仕事を空けて全員で懇親会や将来に向けての会議を行う。
など色々な取り組みをしている会社があります。
このような事例は主に40代前半の経営者が積極的に行っている印象がありますが、勇気?を持ってベテランの経営者にも行ってもらいたいですね。
運送業という業種上、仕事中のコミュニケーションがとれない場合は昔とは変わっていませんが、なにかしら変化をあたえることで良い方向に向かう可能性は十分あると思います。